読書 植木理恵さんの『ゼロからわかる心理学』を読んだ
ホンマでっかTVなどのTV番組でお馴染みの植木理恵さんの著書『ゼロからわかる!ビジュアル図解心理学』を読みました。
この本では「心理学の流れ」に始まり「認知心理学」「学習心理学」「発達心理学」「社会心理学」「人格心理学」「臨床心理学」と現代の心理学の研究分野をわかりやすく解説されています。
一つの項目について右ページに文章で説明、左ページでその文章を図やイラストを使い再度説明するという構成になっています。
本書の目次
●Part1
心理学って何?
その理論と歴史
●Part2
心のメカニズムを知ろう!
知覚と認知の心理学
●Part3
動機づけで行動を変えよう!
行動と学習の心理学
●Part4
人間関係って難しい!
社会や集団の心理学
●Part5
心の成長を考えよう!
成長と発達の心理学
●Part6
性格って何だろう?
人格と性格の心理学
●Part7
悩みのない人はいない!
心の病と臨床の心理学
以下、勉強になったところを紹介してみます。
やる気スイッチはどこにある?
「やる気」のことを心理学では動機づけ(モチベーション)と呼んでいます。
ここでは3つの動機づけが紹介されています。
一つ目は生理的動機づけ。これはお腹が空いて何かが食べたい、眠いから寝たいという生理的な均衡(ホメオスタシス)を保とうとする動機づけです。
二つ目は好奇心や探求心、向上心に基づく内発的動機づけと呼ばれるもの。例えば医者に憧れて勉強を頑張るというもの。自分の興味や意欲によって動機づけられ、長期的な効果が続くとされています。
三つめは外発的動機づけ。「勉強頑張ったらお金を上げる」とか「サボってばかりだどゲームを捨てるよ!」といったもの。こうした飴と鞭による動機づけは一時的で長続きしません。
やる気を考える気持ちの公式?
動機づけの有力な理論として結果への期待と成功したときの価値によって行動が起きるとする「期待価値説」があります。
人が何かをやろうとする「意欲」は出来そうだと思う「期待」と、自分にとってのやりがいである「価値」の認識に影響されるというもの。
意欲=期待✖価値
の公式で表されます。
この式から発展して
達成志向行動=成功接近傾向ー失敗回避傾向があります。
達成への意欲は成功したいと思う気持ちから失敗したくないという気持ちを引いたものということです。また以下のような式もあります。
達成志向行動=動機✖期待✖価値
達成への意欲(達成志向行動)はやる気を起こさせる気持ち(動機)と出来そうだと思う気持ち(期待)と自分にとってのやりがい(価値)をかけたものということです。
この式を見ると「動機」や「期待」や「価値」の一つでもゼロになってしまうと「達成への意欲」が完全に失われてしまうことを示しています。
どうしてストレスを感じるのか?
カナダの生理学者セリエは生物が外界から与えられる刺激をストレッサーと呼び、ストレッサーによって生じた歪みに対する反応をストレスと呼びました。
ストレッサーには疲労や睡眠といった生理的ストレッサー、暑さや寒さといった物理的ストレッサー、対人関係のトラブルや環境の変化などの社会的ストレッサーの三つが考えられています。
一般的にはストレッサーとストレス反応を含めて「ストレス」と呼ばれていますが、そもそもストレス反応自体は環境適応のための防御反応です。しかし、強いストレッサーがかかりすぎると適応不全となって様々な弊害が体に及ぼされます。
このストレス対策にはストレッサーを除去するのが一番ですが、それが無理な場合はストレスを受け入れ、ストレスを感じないように認知を変えることが有効だとされています。
感想
日常生活に役立つ心理学以外にも、心理学の歴史から、研究分野についての概要など学問的な部分もわかりやすく書かれているところが良かったと思います。
心理学に興味を持っているけど、本格的に学ぶには敷居が高いなと思っている人にはオススメ。
本書のPart1では、心理学は誕生の時から哲学、医学、生物学、物理学など諸科学と関連しながら学際的に発展してきたと説明されています。
心理学を学ぶ上では広い興味を持つことが重要だそうです。